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淫魔学園 プロローグ

2作目です。

おそらくかなり長くなりそうですが、最後まで頑張って書いていこうと思います。

とりあえずはプロローグのみ。エッチシーンはまだ後になりそう……





「失礼します、生徒会長」
 生徒会室に入ってきたのは、まだ若い女教師。
 生徒会長のみが座ることの許される椅子。そこに鎮座しているのは学園理事長の娘であり現在の生徒会長でもある来栖 ミサ。彼女から放たれるオーラは下手な大統領よりも強大だった。
「今年度の新入生のデータが揃いました」
「ありがとう。見せて頂戴」
 生徒会長はそういって書類を受け取る。
「なるほど。女子生徒は193名、ね」
「はい。我が校の名にふさわしい、大企業や財閥の跡取りがほとんどです。恐らく今年も楽しんでいただけるだろうかと……」
「興味ないわ」
 生徒会長はぴしゃりと言い放った。その様子に女教師は少し恐縮してしまう。
「ひとつ、よろしいですか?」
 女教師は少し震えながら尋ねた。
「なにかしら?」
「正直に申しますと、私には生徒会長の考えが分かりません。いくら理事長があなたの母であるからといって、伝統ある我が校を、その……」
「共学化したことかしら?」
 女教師は黙りこんだ。
「そうね、この件に関しては全て私が一任されています。もし失敗するとなれば、全て私が責任をとることになるでしょうね」
「何故そんな危ない橋を……」
「危ない橋? 確かに共学化についてはOBや他の教員の方々、その他多方面に渡る方から反対意見があったわ。でも最終的には皆さん賛成してくださったわ。今では男子生徒が入ることを心待ちにしている先生や生徒も多いことよ。何も問題はないと思うけど」
「でもそれは……」
「分かっているわ。あなたのいいたいことも。この学校の者にとって“男”は“不完全なもの”であり、“餌”でしかない。しかし、だからこそやりがいがあるのよ」
「だからこそ?」
「ええ、不完全なものほど完全にしたくなるの。完成した模型に色を塗るだけより、最初から模型を組み立てて色を塗るところまでやりたいのよ。これはゲームなの。失敗すれば私たちの立場は危うくなるけど、成功すれば私たちにとって多大な繁栄をもたらす」
「お気持ちは分かりますが、しかし……」
「不安になるのも分かるわ。けど恐れていては何も始まらないの。大丈夫、あなたに責任は取らせないから、ね」
 生徒会長は女教師を流し目で見つめた。女教師はいたたまれない気持ちになり「失礼します」と挨拶だけをして生徒会長室を去った。


 ミサは手元の資料を眺めた。今年から入学する男子生徒の名簿だ。
 今年入学する男子5名は、いずれも本来ならばこの学園とは無縁の庶民の者ばかりだ。
 最初に金森 喜一。
 父親は一般企業のサラリーマンであり、母親は専業主婦。成績は中の下、といったところだが、体育だけは一度たりとも4以下を取ったことはない。快活で友達も多く、小学校の頃からクラスの人気者ではあるが、いかんせん女子に対してだらしない部分がある。
「狙うなら一番最初に、といきたいけど、まずは様子見かしら」
 次に風間 夏樹。
 幼い頃に交通事故で父親を亡くし、現在は母子家庭である。成績はまずまずといったところで、彼自身が問題を起こしたことはなく、非常に大人しい性格である。しかしその大人しさが原因でいじめの対象となることが多い。
「顔立ちも女の子みたいだし、一見堕ちるのは早そうだけど……意外に芯はしっかりしているから、ある意味では一番難しそうね」
 三人目は小木 輝。
 父親はタクシー運転手であり、母親は高校の教師。成績は中一まではトップクラスだったものの、中二から徐々に落ちている。授業中にノートに女子のイラストを描いたり、家ではもっぱらパソコンに向かっている。成績が落ち始めたと同時に視力が下がり、今では眼鏡がないと何も見えないとのことだ。
「いわゆるオタクね。慎重にいかないと、こういう子は好みが激しいのよね」
 四人目は清水 キリト。
 両親は幼い頃に離婚し、今では母親が水商売をして彼を養っている。成績も芳しくなく、学校に来ることも少ない。また、駅前で暴力沙汰を起こして補導されたこともある。
「不良少年、か。こういう子ほどやりがいがあるのよね」
 最後に七瀬 智。
 両親共に不明。生まれてすぐに施設に預けられて育てられている。成績は悪くはないのだが、学校でも誰とも喋らず、友達もいない。
「智……」
 ミサは彼の写真を見て少し黙り込んだが、すぐに気を取り直した。

 私立夢鏡学園。
 昨年度までは金持ちのお嬢様ばかりが通う名門の女子校。しかしその実態は、人間を“魔族”へと変える恐ろしい施設である。
 そして今年度からは――
「さて、始めましょうか。新入生の皆さん、あなたたちを立派な淑女に、そして“淫魔”にしてあげるわ。男子の皆さん、今のうちに男としての人生を楽しんでおきなさい。ふふっ、あなたたちはただの餌ではないわ。最早私の手駒であり、モノなのだってことを覚えておきなさい!」
 ミサは口元を歪めて笑い出した。

 入学式が、もうすぐ始まる――。

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