園芸部の魔女(3)
丸々2週間、更新してなかった……
そんなこんなで園芸部の魔女の続きです。
「茜沢くん、起きなさい。今は授業中よ」
茉莉の声に、居眠りをしていた空也ははっと目を覚ます。
「す、すみません……」
「君が居眠りなんて珍しいわね。ゆうべは眠れなかったの?」
「大方、一晩中お花の観察でもしていたんじゃねぇの?」
「一分毎に経過観察、なんてな。今度みんなの前で発表してくれよ」
クラス中にどっと笑いが起こる。
「はいはい、静かに。それじゃあ茜沢くん、教科書の75ページから読んで」
「は、はい……」
おかしい――
別に眠れなかったわけではないのに、今日は朝から妙に身体がだるい――
昨夜の夢が原因なのだろうか――
空也は重い頭に耐えながら、そんなことを考えていた。
放課後、空也は茉莉に園芸部の部室に呼び出されていた。
最初はてっきり居眠りのことを説教されるのかと思ったが、茉莉はそういったことに関しては軽い注意こそするものの、比較的寛大に受け止めるタイプなので違うと察した。
となると、昨日の種の件だろうか。
部室で一人茉莉を待つ空也の額に、何故か大量の汗が流れていた。
「ごめんね、職員会議が遅くなっちゃって」
「あ、いえ。それで、僕に何の用ですか?」
茉莉はふっと笑みをこぼして、空也の前に座った。
「昨日の種、順調に成長したかしら?」
「あ、はい。順調どころか先生のいうとおりもう花が咲いていましたよ」
そう。
空也の部屋に植えた昨日の花は、今朝見事なまでに開花していた。
それだけではなく、その花はオレンジ色の花弁の、空也が昨夜見た夢に出てきた花だったのだ。
「あら、それは良かったわ」
「驚きましたよ。まさか本当に一晩で花を咲かせるなんて」
「でも驚くのはまだ早いわ。この花にはね、もっとすごい秘密があるんだから」
「え、何ですか? ちょっと気になりますよ」
「この花はね、一晩で花を咲かせて、二晩目には色を変えるの。そう、オレンジ色だった花が濃い紫色にね」
「へぇ、すごいや。今夜が楽しみだな」
「そうね、今夜が楽しみね。とても……」
空也がいなくなった部室の窓から、茉莉は花壇を覗き込んだ。空也が昨日種を植えた花壇に、“例の花”が綺麗に咲き誇っている。
「マスター、いよいよですね」
どこからか小さな少女の声が聞こえてくる。
「ええ、今夜もお願いね」
茉莉はその声に驚くこともなく淡々と返事をする。
「はい。我々の計画のためにも、まずはあの少年を闇に引き込まなくては、ですよね、マスター」
茉莉の胸ポケットから小さな妖精がひょっこりと顔を出した。
「でもね、ティアちゃん。忘れないでね?」
「はい、何をですか?」
「彼を引き込むのは、あくまでも“始まり”だってことを――」
そんなこんなで園芸部の魔女の続きです。
「茜沢くん、起きなさい。今は授業中よ」
茉莉の声に、居眠りをしていた空也ははっと目を覚ます。
「す、すみません……」
「君が居眠りなんて珍しいわね。ゆうべは眠れなかったの?」
「大方、一晩中お花の観察でもしていたんじゃねぇの?」
「一分毎に経過観察、なんてな。今度みんなの前で発表してくれよ」
クラス中にどっと笑いが起こる。
「はいはい、静かに。それじゃあ茜沢くん、教科書の75ページから読んで」
「は、はい……」
おかしい――
別に眠れなかったわけではないのに、今日は朝から妙に身体がだるい――
昨夜の夢が原因なのだろうか――
空也は重い頭に耐えながら、そんなことを考えていた。
放課後、空也は茉莉に園芸部の部室に呼び出されていた。
最初はてっきり居眠りのことを説教されるのかと思ったが、茉莉はそういったことに関しては軽い注意こそするものの、比較的寛大に受け止めるタイプなので違うと察した。
となると、昨日の種の件だろうか。
部室で一人茉莉を待つ空也の額に、何故か大量の汗が流れていた。
「ごめんね、職員会議が遅くなっちゃって」
「あ、いえ。それで、僕に何の用ですか?」
茉莉はふっと笑みをこぼして、空也の前に座った。
「昨日の種、順調に成長したかしら?」
「あ、はい。順調どころか先生のいうとおりもう花が咲いていましたよ」
そう。
空也の部屋に植えた昨日の花は、今朝見事なまでに開花していた。
それだけではなく、その花はオレンジ色の花弁の、空也が昨夜見た夢に出てきた花だったのだ。
「あら、それは良かったわ」
「驚きましたよ。まさか本当に一晩で花を咲かせるなんて」
「でも驚くのはまだ早いわ。この花にはね、もっとすごい秘密があるんだから」
「え、何ですか? ちょっと気になりますよ」
「この花はね、一晩で花を咲かせて、二晩目には色を変えるの。そう、オレンジ色だった花が濃い紫色にね」
「へぇ、すごいや。今夜が楽しみだな」
「そうね、今夜が楽しみね。とても……」
空也がいなくなった部室の窓から、茉莉は花壇を覗き込んだ。空也が昨日種を植えた花壇に、“例の花”が綺麗に咲き誇っている。
「マスター、いよいよですね」
どこからか小さな少女の声が聞こえてくる。
「ええ、今夜もお願いね」
茉莉はその声に驚くこともなく淡々と返事をする。
「はい。我々の計画のためにも、まずはあの少年を闇に引き込まなくては、ですよね、マスター」
茉莉の胸ポケットから小さな妖精がひょっこりと顔を出した。
「でもね、ティアちゃん。忘れないでね?」
「はい、何をですか?」
「彼を引き込むのは、あくまでも“始まり”だってことを――」
コメントの投稿
No title
随分前の更新だから完結しているものかと思ってたけど
まだ完結してなかったのか
続きが気になります。
まだ完結してなかったのか
続きが気になります。
Re: No title
> 随分前の更新だから完結しているものかと思ってたけど
> まだ完結してなかったのか
> 続きが気になります。
すみません、この話は諸事情で一時停止中です。
いずれ続きは書きたいと思うので、しばらくお待ちください。
> まだ完結してなかったのか
> 続きが気になります。
すみません、この話は諸事情で一時停止中です。
いずれ続きは書きたいと思うので、しばらくお待ちください。