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園芸部の魔女(1)

皆さん、あけましておめでとうございます。
今年もいろんな作品を書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。


というわけで新年一発目は新作です。
とにかく疲れたっていうか、眠いので今日はここまでで。




 ――蝶になって、花畑を飛び回りたい。
 空也がそんな夢を持っていたのは、ほんの小さな頃の話。


 茜沢空也は高校に入学するなり、迷わずに園芸部に入ることを決めた。小さい頃から自然や緑が大好きな空也にとって、それ以外の部活に入るという考えはなかった。高校は豊かな自然に囲まれた田舎町にあり、自然を満喫するには充分な土地だった。周囲はコンビニやスーパーも少なく、多少不便ではあるが、それでも充実した毎日を過ごしていた。

「ねえ、茜沢くん」
 早朝、空也がいつものように花壇の花に水をやっていると、後ろから女性の声がした。
 声の主は、園芸部顧問の須藤茉莉だった。長い髪と黒縁の眼鏡が印象的な、知的な感じのする若い女教師だ。
「相変わらず精が出ることね」
「いえ、これが唯一の趣味のようなものですから」
「茜沢くんみたいな男の子が入ってくれてうれしいわ。うちは力仕事が多いのに部員が女の子ばかりで大変だったのよ」
「はは。期待に添えるように頑張りますよ」
「ええ、お願いするわ。ところで、ひとつ尋ねてもいいかしら?」
「はい、なんでしょうか?」
 空也はホースの水を止めて、茉莉のほうを向いた。
「茜沢くんって、どうして男の子なのに花が好きなの?」
 空也はしばらく考えたあと口を開いた。
「いやあ、花だけじゃなくて、なんていうかボクは自然全般が好きなのかな……」
「ふぅん。だからこの学校に?」
「はい。ほら、この辺の山って花畑とかあるじゃないですか。実はココだけの話、小さい頃のボクの夢って、蝶になって花畑を飛び回ることだったんですよ」
 空也がそういうと、茉莉はプッと吹き出した。
「あ、ほら笑った。言っておきますけど、あくまでも小さい頃の話ですからね」
「うん、分かってるわよ。誰にも言わないって。あははは――」
 笑い続ける茉莉に対して、空也は少しムッとしてしまう。
「もう、先生がそんな人だとは思いませんでした」
「ごめん、ごめんって! 機嫌直してよ! おわびにいいものあげるからさ」
「なんですか、いいものって?」
「今は秘密。だけどね、とってもいいものだから期待してていいよ。今日の放課後に、ね――」
「まぁいいですけど……」
 空也は若干違和感を抱きながら首を縦に振った。


 彼女がその時、心の中に恐ろしい思惑があることに、彼は気付くはずもなかった。もし気付いていれば、彼のその後が全く変わったものになったかもしれない。
 その時の彼女の目は、まるで“魔女”のようだった――


「ええ、準備は完了しましたわ。ちょうどいい生徒がいまして、彼を実験台にしようと思います。はい、この計画が成功すれば、この国、いえ、この世界を支配することができるかと思います。今日の放課後、彼にこの“種”を渡すので、結果が出るのは明日になるかと。では、また連絡いたしますわ」
 そう言って、“魔女”は携帯電話を切った。
「さてと、空也くんの願いを叶えてあげましょうか。その代わり彼は私のものになってもらうけどね――」
 “魔女”は懐から“種”を取り出して、まじまじと眺めた。

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No title

新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。

園芸部の魔女、空也君の運命がどうなるのか気になりますね。
どんな蝶になるのでしょうか…
それと、サキュバス姉妹のお礼も素敵なラストでした。
この作品の続きとこれからに期待しております。
それでは。

おめでとうございます

いじはち様

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。

いじはち様も今後の創作活動頑張ってくださいね。
なの×さきゅの続き楽しみにしています。

では。
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